“UI/UXデザイン”とかイキがる前に、もっとシンプルに考えてみましょうよ。っていう、今回もデザインポエムです。
ボタンを“押す”のと“押させる”の。
ボタン(広義の意味でのそれ)を押すと、画面が切り替わる。あるいは何かが起こる。
そりゃそうです。そうなんです。けれども。誰かがボタンを押す、その瞬間には必ず、“その場面に応じた期待値”があるんです。無意識でも。
期待≒結果。
たとえば、よくあるグローバルナビゲーション。
「企業情報」と書かれたボタンを押すと、会社概要のページに切り替わる。なんの裏切りもない。大正解。ユーザーが抱いた期待と、提供側(クライアントや作り手)が用意した結果のバランスが、均衡であり、平等なんです。
でも。それが所謂バナーや、何かしらのアクションを促すためのコンバージョンボタンになった途端に、バランスが崩れやすくなるんです。
ひとつは、提供側の“押して欲”が、強くなりすぎること。
「これを押せば、〇〇な情報があるんでしょ?」って、期待して押したのに、辿り着いた先で「あれ?違う違う、そうじゃない」という、がっかり感。
気持ち的には、「釣り広告」と同じ。
バグじゃない。という厄介もの。
これの何が厄介かというと、フローが成立していない訳でも、システムのエラーでもなければ、実装のバグでもない。作り手の計画通りであり、設計通り。
でもユーザーからすればぜんぜんゴキゲンじゃない。
ページ遷移の文脈で言うなら、「ボタンが与えた期待値を遷移先のページが1ミリも超えていない」という感じなんです。そうなんです。
でも押しちゃうので、作り手側は「KPI達成!」なんて小躍りしてるかも知れません。
こういう体験に出会うたび、同業として“何ともやるせない”気持ちになります。
作った人が気づいてないとしたらその現場を思って胸が痛みますし、残念な気持ちになってるかも知れないユーザーはもっと不憫。たぶん作り手に悪気はなかった筈だから…。そして何より、そのプロダクト自体がなんとも不遇だな…という何ともおセンチな気持ちに。
自戒も込めて。
期待の定義。それが大事。
この“期待と結果のバランス”は、言葉や写真だけじゃなくて、細かいデザインルールの中にもひっそり潜んでいます。
プライマリやセカンダリといった格付け、
セマンティックやプリミティブのルールなどなど。
何気なく定義している色や形の一つひとつが、実はユーザーに対して「これは押すとこういうことが起きますよ」という期待値を、無意識のうちにすり込んでいるんです。
だからこそ、作り手は先回りして、ユーザーがどんな期待をもってその色や形に触れるのかを考えないと。
作り手のエゴは、ぐっと我慢。
言いたいこと、見てほしいこと、〇〇させたい欲。それらをぐっと堪えて、ユーザーが自発的に取ってくれた行動の先に、幸福なサプライズを用意するくらいがちょうどいいんだと思っています。
期待値のレバレッジ。
ボタンを押したときの「1」の期待に対して、結果として「1.2」や「1.5」の価値を返す。
この期待値に対してレバレッジを最大限に効かせることができたとき、それは言葉本来の意味での、UIであり、UXになるんじゃないかと思います。
少ない力(ユーザーの手間)で、大きな体験の価値を持ち上げる。
テコの原理。
そのためには、まず私たちがエゴをぐっと我慢して、画面の向こう側のユーザーとバランスを取ることができたら、初めてイキっていいんです。
まずは、バランスをうまく取りなって。
最初はみんな、自転車にもうまく乗れないものなんです。
わたしは、CBOをしています。
J.B.Goode株式会社は、デザインや技術を表層だけではなく、その奥にある「構造」まで考え、形にするチームです。
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